CASE 03|経理の月次決算ルールはあるのに、毎月の決算が締め切りぎりぎりだった。
従業員30名の会社。仕訳から経営会議の報告まで(仕訳・記帳/月次集計・照合/決算報告・承認)を見て、4つの判断点を取り出した事例です。
実務をもとに再構成した想定ケースです。社名・数字は実在の会社のものではありません。
相談のきっかけ「ルールは決まっているのに、毎月ぎりぎり」
仕訳のルールは文書になっています。勘定科目の体系も、配賦の基準も決まっています。それでも毎月の決算は担当者の残業に支えられていました。経理主任は「チェックに時間がかかる」と言い、管理部長は「報告書が来るのが遅い」と言う。必要だったのは、ルールの見直しでも人の増員でもなく、本当の詰まりがどこにあるかを見つけることでした。
症状(問診で〇がついたもの)
- 決まったルールで通せばいい確認を、毎回手でやっている
- 遅れる理由が、人によって言うことが違う
診察で見たもの4つの判断は、すべて「ルールで決める判断」だった。
担当→主任→部長と、確認が階段のように上がる構造が見えました。4つの判断を「何を見て、どう決めているか」で表にすると、どれにもルールか基準がありました。暗黙知はほとんどなく、属人化の問題ではありませんでした。
判断点の表
| 判断 | 見るもの | だれが |
|---|---|---|
| この仕訳は正しいか | 証憑と勘定科目の対応。仕訳ルールは文書化済み | 経理担当 |
| 残高に異常はないか | 補助簿と元帳の突き合わせ。見る観点は列挙できる | 経理主任 |
| 配賦基準は適切か | 共通費の部門配賦の比率。年に1度見直す程度 | 経理主任 |
| 報告書を承認してよいか | 数値と分析。確認項目は定型化できる | 管理部長 |
見えたこと詰まっていたのは判断ではなく、判断を支える道具と運用だった。
判断そのものは整理されていました。遅らせていたのは、Excelの手作業、紙の伝票、FAXで届く証憑でした。上流の仕訳の質が、下流の残高確認にそのまま響く構造も見えました。「判断を変える」のではなく、「判断を支える仕組みを変える」ことに力を集中できると分かりました。
処方この会社の蔵書は、基準の表そのもの。処方は道具の入れ替え。
段階は3つ。①証憑のデジタル化と、仕訳入力の自動化(1〜2か月。最大の詰まりを解く)。②残高チェックの自動アラート。主任の目視を「例外対応」に変える(2〜3か月)。③月次報告書の自動生成と、承認の流れの整備。部長は確認点だけ見ればよい形に(3〜6か月)。
※蔵書=業務の中の判断を、AIが読みやすいデータにして蓄えたもの。
判断の図書館の言葉で言えば、4つの判断はすべて「ルールで決める判断」なので、蔵書は基準の表そのものです。人に残す判断はほとんどありませんでした。だから処方の中身は、判断ではなく道具の入れ替えになりました。
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