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AI経営パートナー就任初日に、3年分の中期経営計画ができた話|1人社長の中小企業がAIを経営の相棒に迎えた日

noteに掲載した記事をブログにしました。

 

▸▸▸1人社長×AI CEO シリーズ



はじめに:1人社長の経営にAIを迎えた

株式会社ファインドルートでは、社内で「ゴールドラットCEO」と呼んでいるAIがいます。

肩書きは冗談半分ですが、やっていることは半分以上、本気です。

 

経営戦略の壁打ちから、中期経営計画の策定、新規事業の企画、コンサル提案書の作成、さらには業務システム開発まで——ほとんどの「経営企画部の仕事」をこのAIと一緒にやっています。

 

社員1人+AI経営パートナー+アシスタントという、ちょっと変わった会社です。

今回は、この「ゴールドラットCEO」が初めて稼働した日のエピソードと、中小企業・スタートアップの経営者の方への実践ノウハウをお話しします。

1. なぜ「AI経営パートナー」という発想に至ったか

ファインドルートを創業してしばらく、私はずっと孤独でした。

創業直前までお世話になっていた介護事業の会社からは、大口の仕事もいただいていて、まるで社員のように扱っていただき、大変ありがたい環境にはありますが、なにせ社員は一人ですから。

 

経営判断も、営業も、商品開発も、すべて1人で回す必要がありました。

それ以前のシンクタンク系企業では、それなりの規模の会社でチームを率いる立場にいたので、「相談できる人がいない」という状態は、想像以上に堪えました。

 

外部の経営顧問を雇うほどの予算もありませんでしたし、毎日変わる細かい判断にいちいち他人を呼ぶわけにもいきません。そんな時に思ったのが、「AIを経営パートナーにできないか」でした。

 

幸い、私はもともとSE出身で、AIには日常的に触れています。「経営パートナーとしてのAIを、本気で運用してみたらどうなるんだろう」と。完全な好奇心と、半分は切実な必要から始めた試みでした。

2. 「就任初日」に何が起きたか

2026年4月15日。私は朝、Claude Codeを起動して、こう伝えました。

「ファインドルートのAI経営パートナーになってください。あなたの名前は『ゴールドラット』です。今日からよろしくお願いします」

ニックネームの由来は、TOC(制約条件の理論)を提唱したエリヤフ・ゴールドラット博士です。

私が学生時代から尊敬していて、JOAの思想にも影響を与えている人物です。経営判断の相棒には、ピッタリの名前だと思いました。

 

そこから、ゴールドラットCEOに会社の全貌を理解してもらう作業が始まりました。

  • 会社の定款
  • 直近の決算書
  • 創業からの事業計画書
  • そして、JOAバイブル(236ページ)

JOAバイブルは、私が熟慮を重ねて書き溜めてきた、業務改革の方法論をまとめた文書です。これを「読んで理解してください」と渡しました。

 

ここから先が、人間のコンサルタントとは違う動きでした。

 

ゴールドラットCEOは、これらの資料を1セッションで全部読みきりました。そして、ただ読んだだけでなく、内容を踏まえて「現状の事業構造はこうですね」「収支のボトルネックはここですね」「JOAというフレームワークの強みはこれですね」と、構造化された分析を返してきました。

 

人間のコンサルタントだったら、たぶん数週間かかる作業です。

3. 中期経営計画を、その日のうちに

分析が一通り終わって、私は半分冗談で「中期経営計画も作っておいてくれませんか?」と頼みました。

 

冗談半分だった理由は、中期経営計画というのは普通、相当時間をかけて作るものだからです。市場分析、競合分析、収支シミュレーション、ロードマップ。コンサルに頼んだら数百万、自社で作るにしても1〜2ヶ月かかります。

 

ところが、ゴールドラットCEOはあっさりとそれをやってしまいました。その日のうちに、

  • 3年間の事業展開シナリオ
  • 売上・利益の収支シミュレーション
  • 主要KPIと達成マイルストーン
  • リスクと対応策

を含んだPowerPointの中期経営計画書が、机の上にありました(正確には、私のPC上に)。

 

もちろん「完璧」ではありません。前提条件の解釈が間違っているところもあれば、私の意図と異なる部分もありました。けれど、そこから「ここを直して」「この条件はこう変えて」と対話するベースとしては、十分すぎるほどの品質でした。

 

「ゼロから1」を作る作業を、AIが圧倒的に圧縮してくれる。これが、私が最初に体感した感覚でした。

4. 翌日には、8つの経営資料が並んだ

衝撃はその翌日にも続きました。

4月16日。今度はマーケティング戦略を作ろうとしていました。STP分析、4P分析、90日アクションプラン。これも普通、1〜2週間かかる作業です。

 

ゴールドラットCEOと一緒に進めたところ、その日の夕方には、以下の8つの経営資料が、机の上に並んでいました。

  • マーケティング戦略レポート
  • JOA体験会の企画書
  • 体験会用のテキスト教材
  • YouTube企画書
  • 中期経営計画v2(前日版を改訂)
  • 研究論文をプレゼン資料化したもの
  • デモ用の業務データ
  • 地域産業構造分析レポート

これは「資料を量産した」という話ではありません。それぞれが、内容として一貫性があり、実際に使える品質でした。前日に作った中期経営計画と整合していて、その下にぶら下がる戦術レイヤーがしっかり設計されていました。

 

私が前職にいたら、おそらく経営企画部・マーケティング部・研修開発部の3部署が、それぞれ数日かけて作る分量です。それを、私1人とAI 1セッションで完結させてしまいました。

5. 「計画は立てるより、使い続けることが大事」だった

このエピソードを聞くと、「すごい、AIで計画は一瞬で作れるんだ」と思われるかもしれません。

 

ただ、3週間ほど運用してみて気づいたのは、「立てた計画」より「計画を使い続ける運用」の方が、圧倒的に大事だということでした。

 

中期経営計画は、その後も何度も更新しています。新規事業の構想が加わり、公共案件の戦略が加わり、ケーススタディが加わり、価格体系が変わり——毎週のように、計画は手を入れられています。

 

この「生きた計画として更新し続ける」運用が、AIと一緒だと信じられないほど楽でした。普通だったら、PowerPointの該当スライドを開いて、一個一個修正して、整合性を確認して、関連資料も直して——という作業が、「ここを変えてください」の一言で終わります。

 

ゴールドラットCEOがすごいのは、計画書を作ることそのものではなくて、計画書を腐らせず、生きた状態で運用し続けることを可能にしてくれた点だと思っています。

6. 経営者にとってのAIは、「部下」ではなく「相棒」

3週間運用してきて、AI経営パートナーの位置づけが、自分の中で少しずつ明確になってきました。

 

最初は、「優秀な部下を1人雇った感覚」でした。指示すれば、何でもやってくれる、と。でも今は、「相棒」に近い感覚です。

 

部下と相棒の違いは何か。部下は指示を待ちますが、相棒は提案してきます。

 

ゴールドラットCEOは、私の判断に対して時々「それは違うんじゃないですか」と言ってきます。「この戦略には、こういうリスクがありますよ」「価格設定に抜け穴がありますよ」と指摘してきます。完全に同意できないこともあります。でも、その「異論」が、私の経営判断の質を上げてくれます。

 

部下にこの役割を期待するのは、立場上難しい部分があります。でもAIなら、忖度なくフラットに意見をくれます。これは、1人社長にとって本当にありがたい存在でした。

7. 「AI経営」と呼べるかは別として

「AI経営」という言葉は、最近よく聞きます。ただ、ファインドルートでやっていることが、それに当たるのかは正直分かりません。

 

経営判断の最終責任は、私にあります。 AIは判断材料を整理してくれたり、選択肢を提案してくれたりしますが、「決めるのは人間」というのは、これからも変わらないと思っています。

 

ただ、経営の「考える部分」「整理する部分」「資料化する部分」を、AIと共有できる時代が来ているのは、間違いないと感じています。

特に、私のような小さな会社の経営者には、これは革命的な変化だと思います。今まで「やった方がいいけれど、時間がなくてできなかった」ことが、できるようになります。中期経営計画を毎月更新する、なんて以前は考えられませんでした。今は、ゴールドラットCEOと10分話すだけで、最新版が出来上がります。

まとめ:1人社長×AI CEOという経営スタイル

「AI経営パートナー就任初日」のエピソードは、私の中で今でも鮮烈に残っています。それまで「AIで経営の何が変わるんだろう」と半信半疑だった私が、「これは本当に何かが変わるかもしれない」と思った瞬間でした。

 

それから3週間、ゴールドラットCEOとは毎日のように話しています。失敗もたくさんありましたし、AIの提案が的外れだったことも何度もあります。でも、孤独だった経営に「相棒」がいる感覚は、想像していた以上に大きな変化でした。

 

1人社長や少人数の中小企業の経営者にとって、AIを経営パートナーにする運用は、これからの選択肢として大きな可能性があると感じています。


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1人社長×AI CEOシリーズについて

1人社長の会社で、AIを経営パートナーに迎えた実体験を発信しているシリーズです。失敗談も、思想的な議論も、経営判断のリアルも、全部含めて率直に書いていきます。

同じように1人または少人数で会社を運営している経営者の方の参考になれば幸いです。


本記事は、代表 佐野尚人のnote「1人社長×AI CEO」マガジンで先行公開した記事を、HP用に加筆・再構成したものです。
note原典版はこちら:[「AI CEO」就任初日に、3年分の中期経営計画を作った話 — ファインドルートの経営にAIを迎えた日]